失体感症と狂戦士の甲冑|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

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失体感症と狂戦士の甲冑|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

失体感症と狂戦士の甲冑

皆さんこんにちは。院長の千々岩です。

以前当クリニックで働いてくれていた元スタッフの方と、先日お話しする機会がありました。

彼女曰く、以前勤務していたクリニックが、患者さんを囲いこむような形で患者数を増やしていく形だったのに対し、当クリニックでは毎月一定数の患者さんが卒院していく。

そしてそのことにより、毎月新患患者を受け入れられる余裕へと繋がり、結果として良い循環を生んでいる、とのご指摘を受けました。

これは、私が常日頃から意識していることであり、元スタッフから言語化してもらったことで、「自分の治療スタンスはそんなに間違っていなかったんだ」、という自信を改めて得ることができました(^^♪

これからも、患者さんのなかに存在する回復力(レジリエンス)を大事にする治療に磨きをかけていきたいと思いますので、皆さん改めてうちの「ハコカン」を宜しくお願いいたしますm(__)m。

 

話は変わりますが、当クリニックでは、ストレス関連疾患と呼ばれる病気の中でも、心身症(心理社会的ストレスが発症の引き金や経過に影響する身体疾患)の治療に注力しています。

心身症にはアトピー性皮膚炎や気管支喘息、過敏性腸症候群、胃潰瘍、筋緊張型頭痛、書痙、ストレス性の高血圧など様々なものがありますが、いずれも心理的ストレスが、患者さんの中で蓄積し、キャパオーバーをきたしそうになった時の身体からの「警告反応」という側面を少なからず持っています。

心身症を起こしやすい患者さんの病前性格としては、失感情症(怒りや悲しみといった自らの感情に対して認識したり、言語化することができない状態)が有名ですが、それとは別に失体感症というものが存在します。

失体感症とは、ストレスの蓄積や、身体の限界を無視して活動を続けた結果、疲労感や、空腹感、痛みといった、生存の為に不可欠な体からのサインに対して感覚が鈍麻してしまった状態のことです。

 

失体感症の患者さんでは、自分の健康の限界を超えて頑張ってしまう(過剰適応)ことができるため、無理を重ねてしまった結果、最終的に心身症やうつ病、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な健康被害を起こしてしまう傾向があります。

ところで前回のブログにて、トラウマ漫画の1つとして挙げた「ベルセルク」というダークファンタジーの傑作漫画には、「狂戦士の甲冑」という呪われたアイテムが登場します。

ドワーフ(鉱精)によって鋳造されたこの甲冑は、使用者の憎悪や怨念といったマイナスの感情を激情に変えて増幅させ、痛覚を遮断し、超常的な力を持ち主へと付与します。

この武具を得たことで、主人公であるガッツは戦闘力を極限にまで高めることに成功し、これまで苦戦してきた使徒と呼ばれる魔獣達を、次々に屠っていきます。

 

しかし、常人離れした戦闘力と代償に、この鎧は持ち主の肉体に尋常ではない負荷をかけることになります。さらには、ガッツが骨折した際には鎧の内側から棘が突き出て、肉ごと無理やり骨を固定して戦闘を継続させるのです。

 

さらに、戦闘を継続している間に、意識が鎧側に乗っ取られると「ベルセルク」のタイトル通り、「狂戦士」と化してしまい、敵味方関係なく襲い掛かってしまうというデメリットがあります。

 

度重なる戦闘で狂戦士の甲冑を使用してきたガッツは、髪は白髪となり、色覚異常、味覚異常、視野狭窄といった肉体的ハンディキャップを背負うことになりました。

 

こうしてみると、心身医学的に解釈すれば、狂戦士の甲冑とは「失体感症」を持ち主に強いて、過剰適応を可能とするアイテムに他ならないように思えます。

 

「痛み」や「疲労」といった肉体からの危険信号を無視し、戦い続けることを強いられるという状況にあるのは、ガッツだけではなく、我々令和の世に生きる日本人も同じかもしれません。

その結果、うつや心身症だけではなく、心筋梗塞や脳出血、最悪過労死という状況に追い込まれた知人を、私は過去に何人も目の当たりにしてきました。

 

実はベルセルクの作者である、三浦建太郎先生も、非常に緻密かつ過剰な書き込みをおこなう画風の為、常に過労状態をきたしており、睡眠や休日を削りながら執筆活動を続け、食事もカロリーメイトだけで済ませることが多かったと聞きます。

「果たして、自分の頭の中にある構想を、全て作品として出せるのだろうか?」と自問自答しながら、30年以上執筆活動を続けてきた三浦先生ですが、2021年5月6日、急性大動脈解離により逝去。

こうしてみると、長年にわたる過酷な創作活動が、三浦先生の心身に大きな負担を与えていた可能性は否定できません。実は狂戦士の甲冑を纏っていた主人公ガッツのモデルは、作者の三浦先生に他ならなかったのではないでしょうか

一旦は連載中断となったベルセルクですが、現在は三浦先生の親友である漫画家とお弟子さんに引き継がれて、連載再開となりました。作品の更新スピードはゆっくりですが、一ファンとしては、なんとか完結まで見届けたいものです。

 

最後に、現代社会には様々な「狂戦士の甲冑」が存在すると思うのは私だけでしょうか?

覚せい剤や大麻といった違法薬物だけではなく、アルコールやタバコ、エナジードリンク、果ては糖質・炭水化物まみれのジャンクフード…。

 

 

一時的には、覚醒状態を作り出し、パフォーマンスアップを図ったり、疲労や苦痛から逃れることができたとしても、度重なる使用は、自分自身の健康を蝕むリスクがある…。

 

このように、狂戦士の甲冑という呪いのアイテムは、魅力的ではあるものの、使用後のリスクが常に付きまとうため、健康寿命を全うしたい我々一般人は、使用を控えた方が良さそうです…(;^_^A。

 

全世界発行累計部数、約6000万部を記録した、ダークファンタジーの金字塔、ベルセルクから学べる教訓は、こんなところにもあるのかもしれませんね。それでは今日はこの辺で(^^♪

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