OK牧場とこころの姿勢
皆さん、こんにちは。院長の千々岩です。忙しさにかまけて、長らくブログ更新ができずに申し訳ありませんでしたm(__)m。
さて、今回のお題は「OK牧場」。皆さんの中にはこの言葉を聞くと、元プロボクサーのガッツ石松さんのことを思い出す人が多いかもしれませんね。
ちなみに、OK牧場の由来ですが、ガッツさん自身の監督映画に憧れのロバート・フラー(映画 「ララミー牧場」で有名な俳優)に出演してもらうこととなり、フラーが監督である自分にとって最高の演技をしてくれたことに感激して、思わず口をついて出たのがこの言葉だったとか。それ以来、ガッツさんは自分にとって良いことがあると、「OK牧場!」と口にするようになったとのことです。
ところで心理学の用語にも「OK牧場」の言葉が存在することを皆さんはご存じでしょうか?
その心理学とは、「交流分析」というものであり、メチャクチャ簡単に言えば、かの有名なジークムント・フロイトによる「精神分析」の理論を、もっとフランクに分かりやすく、親しみやすくしたパーソナリティ理論ともいうべきものです。
皆さんの中には、心理テストの1つ「エゴグラム」を受けたことがある人がいるかもしれませんね。
このエゴグラムも、交流分析における自我状態をベースに考案された性格診断法であり、自分自身がどのようなことに人生のエネルギーを割いているのか、対人交流においてどのようなパターンで臨んでいるのかを、ある程度明らかにすることができます。
この交流分析における「OK」牧場ですが、下図のようになります。
解説すると、この4つの分画に分けられた牧場は、自己・他者に関する肯定・否定の構えを表したものです。
1:私はOKであり、あなたもOKである (自己肯定+他者肯定)
最も豊かな人生を送ることができる、心的姿勢といえるでしょう。
この構えを持つ人のところには、その人間性により、自然と運や人、お金すらも自然に集まってくるように思えます。代表的な有名人を挙げるとすると、大谷翔平選手が私の頭には浮かびますが、皆さんなら誰を想像しますか?
2:私はOKであるが、あなたはOKでない (自己肯定+他者否定)
この構えを持っている人は、押しが強く、経済的・社会的には成功する人が少なくありません。
会社のワンマン社長や政治家(アメリカの某元大統領なんかまさにこれですね)にも多いタイプですが、しばしば部下を潰したり、パワハラを行うことで恨みを買うこともしばしばです。
そのせいか、晩年は孤独な人生を送ったり、部下に裏切られたりして、最終的にはあまり幸せな人生を送ることができない人が多いように思えます。
3:私はOKではないが、あなたはOKである (自己否定+他者肯定)
謙譲が美徳とされた、かつての日本人において、多く当てはまるメンタリティが、この構えのように思えます。そして、心身症やうつ病といったストレス関連疾患の患者さんにもしばしば見られる心的姿勢でもあります。
当クリニック初診時はこの構えにあった患者さんが、クリニック卒業の際に1のメンタリティに変わることを見るのは、主治医冥利に尽きるというものです。
4:私はOKではないし、あなたもOKでない (自己否定+他者否定)
この状態にある方は、メンタル疾患においては、例えば重症うつ病など、かなり危険な状態にあると言えます。
最悪の場合、自殺の危険があるだけではなく、「死なばもろとも」のメンタリティにある為、時には周りの人を巻き込むことにも躊躇しないケースもあります。
深刻な幼少期の愛着障害や虐待歴などを持っているケースも少なくなく、精神医療において最も救われるべき人々とも言えるでしょう。
どうでしょうか? 本日はOK牧場について触れてみました。
特に3,4の状態は心身の不調にもダイレクトに繋がってくるため、日頃から自分の心的姿勢がどのパートに位置しているか、モニタリングするのもメンタルヘルスを保つ上では役に立ちますよ(^^♪