速攻で効く漢方(`・ω・´)!|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

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速攻で効く漢方(`・ω・´)!|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

速攻で効く漢方(`・ω・´)!

皆さんこんにちは、院長の千々岩です。

前回のブログで、ビタミン効果でブログの更新スピードが上がったとか言っていたそばから、二か月も更新を怠ってしまい、どうもスミマセンm(__)m。

春は変化の季節と言われますが、この3~4月においては、当クリニックのスタッフも入れ替わりが激しく、院長自らマンパワー確保の為に東西奔走していたもので、ブログ更新は後回しになっておりました( ;∀;)…。

 

さて、言い訳はこれぐらいにして、今回は漢方の話です。

皆さんは漢方薬が効果を発揮するのには、結構時間がかかるイメージを持っていませんか?

これはある場合においては正しく、ある場合では間違いとなります。

 

例えば「体質改善」の為や、「長患い」の病気に対して漢方薬を服用する場合は、少なくとも数週間~数か月を要することもあります。

しかし、以下のような場合には漢方薬は電光石火の速さでその偉効を示す場合があります。

 

case 1 :漢方薬の構成生薬が少ない場合

有効成分を多く含んだ薬用の植物、動物、鉱物をいつでも用いることができるように保存したものを「生薬」と呼びます。

そして漢方薬はこの生薬同士が合わさって、結成された1つのチームと考えることができます。

例えば、葛根、麻黄、桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草といった7つの生薬それぞれを個性あふれる選手とすると、それらが組み合わさってチーム「葛根湯」ができる、といった具合です。

漢方薬の特性として、ユニットを構成する生薬の数が多ければ多いほど、マイルドかつゆっくりとした薬理効果となり、構成生薬の数が少ないほど、シャープで即効性をもった薬理効果が発現することになります。

例えば、「芍薬甘草湯」という漢方薬がありますが、この処方は芍薬と甘草という、たった二味の生薬から構成されています。月経痛、こむら返り、過敏性腸症候群による腹痛など、筋肉の痛みなら大体なんでも効く、かなり便利な漢方薬ですが、私は昔、夜間救急で働いていたときには、尿管結石の痛みにも使用していました。

 

尿管結石の痛みは、「痛みの王様」とも言われる、かなり激烈な痛みであり、鎮痛剤でも痛みがとり切れない場合が少なくありません。しかし鎮痛剤でも緩和しきれない尿管結石の痛みに,芍薬甘草湯エキスを2包お湯に溶かして患者さんに服用させると、5分もたたないうちに痛みがほぼ消失しており、横にいた看護師さんも、患者さんも大変驚いていたことがありました。尿管も平滑筋という筋肉でできている為、芍薬甘草湯のもつ筋弛緩作用で、尿管の内圧が低下したことが理由でしょう。

また、桔梗湯という桔梗と甘草という同じく2味からなる漢方薬がありますが、咽頭痛や扁桃腺炎による喉の痛みに使用すると、分単位で炎症が和らぎ、痛みが緩和されることを患者さんは自覚します。この場合、桔梗湯はお湯に溶いて甘いうがい薬として用います。喉の痛いところに薬湯があたるようにして、ゆっくりと飲み下すのが効かせるコツです。

case 2 :漢方薬と患者の体質における相性がピッタリ合った場合

葛根湯や麻黄湯といった漢方薬の多くが「傷寒論」という漢方の感染症治療マニュアルが出典になっていることもあり、風邪やインフルエンザは漢方薬が効果を発揮しやすい得意分野になります。

ちなみに今から約20年前、私の友人の内科医が風邪をひいてしまい、医局で苦しそうにしている場面に遭遇したことがありました。なんでも、いつもは解熱鎮痛剤の座薬を用いて、強制解熱すれば元気になるらしいのですが、今回に限っては全然うまくいかないらしいのです…。

風邪の症状を聞いてみると、38度後半の熱が出ており、頭痛と肩こりがとれないとのこと。また汗はかいておらず、脈をとってみると浮いていて強い緊張した脈をしていました。

私は彼に、自分が持っていた葛根湯エキス顆粒を渡し、湯飲みに入れて熱いお湯で溶かし、温かい状態で服用するよう伝えました。

彼はアンチ漢方の立場だったので、不承不承、私の言いつけに従ったのですが、それから約5分後、「先生!あれから気持ちいい汗が出てきて、すっかり良くなっちゃったよ!

と、喜び勇んで症状改善を報告してくれました。

それからは、漢方アンチの立場から、漢方シンパへと立場を変え、病院の漢方勉強会にも顔を出してくれるようになりました(笑)。

 

葛根湯は、彼のように胃腸が丈夫なタイプで、汗をかいておらず、関節痛や肩こりを伴った風邪症状に用いる処方です。

このように漢方薬というチームが有する性格と、患者さんの示す生体反応や体質がジャストフィットすれば、風邪なども短期間で制圧することが可能です。

 

反対に、胃腸虚弱であったり、汗をダラダラかいている患者さんに葛根湯を用いたりすれば、胃腸障害の副作用や、汗が止まらなくなり脱水に陥ってしまうリスクも存在する為、漢方薬は、そのリスクとベネフィットを見極めることができる医師の下での使用が推奨されます。

 

今回は漢方薬の持つ即効性について紹介しました。

最近、また財務省や維新の会などの圧力により、漢方薬の保険外しへの空気が強まってきています。

しかし上に述べたように、漢方薬の保険外しが行われれば、患者さんの経済的負担の増加のみならず、不適切な使用が増えることで健康リスクが増えることにも繋がります。

 

日本の医療に欠かせない存在となってきた漢方薬が、これからも安全に使用できる世の中であることを切に望みます。

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