美人になる漢方薬(;^ω^)??
皆さんこんにちは。院長の千々岩です。
今回は久しぶりに漢方薬のお話をしましょう。
ところで、皆さんは「美人」はお好きですか?
昔、「綺麗なお姉さんは好きですか?」というCMがありましたが(水野真紀さん、綺麗でしたよね~♬)美人が嫌いな人は恐らくはいないのではないでしょうか?(男性はもちろんですが、同姓である女性も魅了されるのが美人の条件と私は思っています。)それだけに、古今東西「美人」を巡っては、政治、戦争、外交、はたまた神話、昔話などフィクション、ノンフィクションのジャンルを問わず、人々の耳目を集めてきた印象があります。
ちなみにクレオパトラ、楊貴妃、小野小町といった世界3大美女はあくまでも「日本限定」であり、世界共通の認識としては、小野小町の代わりに「ヘレネー」(ギリシャ神話に出てくる、トロイア戦争のきっかけとなった絶世の美女)が入るとのこと。
前置きが長くなりましたが、今回取り上げる生薬は女性を美人にすると古来言われる「当帰(とうき)」。当帰が含まれる漢方薬には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、四物湯(しもつとう)、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、塗り薬では紫雲膏(しうんこう)など、様々なものがあります。(これでもほんの一部です)
この当帰は、婦人科漢方の主役ならぬ主薬ともいえるものであり、補血、鎮痛、鎮静、強壮作用など、貧血や血流を改善させ、体を丈夫にする力が含まれています。
ですので、医学の現場でも、抗ガン剤や放射線治療、外科手術の後にみられる衰弱や貧血の改善に、当帰が含まれる十全大補湯が頻用されるわけです。
この当帰、名前の由来には諸説あるのですが、以下のようなものが知られています。
● 不妊のために実家に戻された嫁が、当帰を服用して妊娠できる元気な体になり、婚家に「当(まさ)に帰る」ことができた。または実家に帰った嫁が元気になり、実母に「当(まさ)に帰るべし」と言われた説
● 病気で子供ができずに、夫に浮気された妻が当帰を服用して、元気になるどころか、さらに美しくなり、「夫、当(まさ)に帰る」ことになったという説。
● 出産のために実家に帰った嫁が、産後に当帰を服用して元気になり、婚家に「当(まさ)に帰る」ことができたという説。
浮気した夫が、綺麗になった奥さんの元にのこのこ帰ってくるというのは、かなり「トホホ (;´д`)」な話なのですが、それだけ昔から当帰に備わる「美人力」には定評があったということでしょう。
ちなみに当帰が含まれる漢方薬の代表選手に、「当帰芍薬散」がありますが、この漢方薬がベストフィットする女性のタイプは、竹久夢二が描く美人画が典型例と言われております。
色白で、貧血傾向があり、冷え性で、いかにも「蒲柳の質」と言えるタイプの美人ですね。
昔の漢方医は、妙齢の女性とすれ違う際に、「今の娘は当帰芍薬散!」、「いやいや桂枝茯苓丸!」などと、評していたという話も残っています。(女性側からすると、相当失礼な話ですね…。令和の世ならフルボッコにされることでしょう…(;^_^A)。
最後に、「私、美人になりたいし、貧血や冷え性があるから漢方で解決♪」 というのではなくて、漢方治療の前に原因検索を行うことは極めて重要です! ただの貧血や冷え性かと思いきや、ポリープや癌、痔からの出血、子宮や卵巣などの婦人科系疾患、はたまた甲状腺機能低下症などが隠れていた、ということはしばしば起こりえます。
明らかな貧血を指摘された場合、若い女性では婦人科でのチェック、中高年以降では胃カメラや便潜血検査、大腸カメラなどは、漢方服用の前にきちんと行っておきましょう(^_-)-☆。