漢方医学における陽キャ・陰キャ
皆さんこんにちは。当クリニックでも梅雨や猛暑による影響で、一時的に体調不良や自律神経失調気味の患者さんの数が急速に増えつつあります。
私が生まれた昭和とは異なり、令和の夏は下手すると人間を殺しにかかるヤバさを持っています(;^_^A
もはや生命維持装置ともいえるエアコンの適宜使用、そして適切な水分・塩分の補給に関しては、皆さんもくれぐれもお気を付けください。
さて、今回のテーマは陽キャと陰キャについて。
かつて、昭和においてもネアカ、ネクラという言葉がありましたが、令和においては陽キャと陰キャという言葉が若い世代を中心に使用されています。
簡単に説明しますと
陽キャ:「陽気なキャラクター」の略語
特徴:明るくて社交的 人と話すのが好き ノリが良く、テンションが高め
友達が多い、グループ行動が好き リーダーシップをとることが多い 学園祭・イベントなどに積極参加
陰キャ:「陰気なキャラクター」の略語
特徴:内向的でおとなしい 一人でいるのが好き(読書、ゲームなど) 人と話すのがちょっと苦手
静かな環境を好む 感情を外に出すことが少ない グループ行動よりも個人行動を好む
このような違いがあります。勿論、世の中には様々な性格の人がおり、陰か陽、黒か白の二元論だけでは片づけられないわけですが、この陰と陽の考え方は、実は漢方医学的診断の重要な部分を占めております。
ちなみに漢方医学における陽キャ、陰キャはそれぞれ、「陽証」、「陰証」と呼びます。簡単に説明しますと、
陽証:生体内において熱産生がアップし、患者本人が熱感をともなう状態。
特徴:暑がり 冷たい飲食物を好んで摂取 赤ら顔 目が充血 カラスの行水タイプ
陰証:生体内において熱産生が低下しており、寒気や寒冷を自覚している状態。
特徴:寒がり 温かい飲食物を好んで摂取 青白い顔 長湯が好き
また、若者言葉における陽キャ、陰キャと同様、陽証では性格的にも「発揚性:活動的で精力的」が認められやすく、陰証では「沈降性:大人しい、弱々しい」といった特徴を認めやすいところがあります。
しかし、なぜ漢方でも陽キャ、陰キャが大事なのでしょうか?
これにはちゃんとした理由があります。
例えば、風邪をひいたときを想像してみて下さい。
ある人は身体が熱くて熱くて、寝ていても布団なんか蹴っ飛ばしてしまう一方で、別の人は寒くて寒くて服を重ね着したり、電気毛布を持ち出してくる人もいるわけです。
要するに、人間の体にある種のストレスが加わった際、何らかの「生体反応」が出現するわけですが、それが熱を帯びているが、冷えを帯びているかで、使用する漢方薬も大きく変わってくるわけです。
有名な「葛根湯」は、陽証かつ体力がある人向けの漢方薬である為に、寒くて寒くて仕方がない人の風邪に処方すると逆効果である場合も少なくありません。その場合、「乾姜」や「附子(前に取り上げたトリカブトのことです)」などの熱薬が含まれた漢方薬を処方しないと、体調はよくならないのです。
一方、猛暑に苦しんで、冷たい飲み物ばかり摂取している方は、陽証と思われます。この場合石膏や黄柏、黄連、山梔子など体を冷やす生薬が含まれている漢方薬を服用すると、夏が過ごしやすくなります。
ですので、自分が漢方的に「陽キャ」なのか「陰キャ」なのか、チェックしてみることは、薬局などで漢方薬を購入するときのヒントとなることでしょう。
もしご自身で判断がつきかねる場合は、当クリニック外来で、私に聞いて頂ければ(^^♪