みなさんこんにちは(^^♪　院長の千々岩です。

さすがに心療内科医を２０数年も続けていると、初診時の時点で「あ、この患者さんは確実に元気になるな」とか、「この患者さんは、時間がかかりそうだな　じっくり構えないと」といったある種の直感を感じることがあります。そして数か月～１年後にその感覚は、的中していたことがわかるのです。

病気にかかった場合、その病気がたどる経過と結末に関する、医学上の見通しのことを「予後」と言いますが、これはガンや感染症といった外科や内科の病気に限られるものではなく、うつ病や心身症といったストレス関連疾患においても、そのまま当てはまります。

ストレス病の予後を左右していることがいくつかあります。まず最初に

家族や友人によるサポート体制をもっている

元々人間関係に恵まれており、「助けられ上手」であった患者さんは、例え大きなストレスや不幸ごとに見舞われたとしても、いずれは必ず立ち直ります。それは他者に対する「基本的信頼感」（basic trust）を有しているからです。基本的信頼感は、幼少期における母親をメインとする近親者との親子関係に遡ります。

近親者が子供の「安全基地」と機能し、愛着関係が育まれていた家庭で育った人は、大人になってからのストレス耐性も高いことが多いのです。

一方、ネグレクトや虐待、荒んだ親子関係を経験した患者さんにおいては、基本的信頼感という精神的基盤が盤石ではない為、ストレス耐性が高くないことが多いです。他者を信頼することもできない為、本来なら周りからのサポートを受けるチャンスがあったとしても、みすみす見逃してしまうことも少なくありません。

以前のブログで出てきた「I am not OK, You are not OK」の心的構えにも繋がりやすく、ストレス病の場合、かなり根が深い状況と言えるでしょう(;^_^A。

根が素直である

これはストレス病の改善に限ったことではありませんが、素直な人、性格がよい人はストレス病がスムーズに治りやすい傾向にあります。

ところで私は、外来に来る患者さんに対してよく生活方面に関するアドバイスを行うことが多いです。

例えば「睡眠を良くとるためには、シャワー浴だけではダメで、布団に入る２時間前に、好きな入浴剤でも入れてぬるめのお風呂に３０分ほどゆっくりつかってみましょう」などと話したりするのですが、このアドバイスに従った患者さんでは、「睡眠導入剤を必要とせずに眠れるようになりました」とか、「漢方薬はもう使わなくてもいいです」といった嬉しいレスポンスが得られることが多い傾向にあります。

一方、外来に来られるたびに、「ついつい忙しくて、風呂に入る時間はないんですよね～」とか、「あ、忘れていました」とか仰る患者さんも少なくありません。

そういった患者さんほど、手っ取り早い、楽な方法を選びたがる傾向が多く、「なんかいい睡眠薬ないですか？」などと聞いてきたりします。でも、これではいつまでたっても症状の自己コントロールは難しいままですよね(;^_^A。

 

結局、素直かつ能動的にプロの言葉に従った方が、心療内科クリニックの卒業も早くなる。これは真理だと思います。

ネットであれこれ知りえた情報に振り回された挙句、ドクターショッピングを頻繁に行ったり、怪しいサプリなどに手を出して時間とお金とエネルギーを無駄にする…その結果、何年も病んだ状態が続いている…

こういった悲惨なことにならないように、ご自身の主治医との治療における信頼関係・協力関係はとても重要です！

当クリニックでも、「こんなこと聞いて怒られないかな…」など思わずに、疑問点や知りたいことがあったら、私に外来でドシドシ聞いてもらえれば(^^♪