ストレス病が良くならない5つの悪習慣!
皆さんこんにちは。先日のブログは、主に40~50代・男性諸氏の方々から熱い反響を頂きました。
やっぱり、みんなガンダム大好きなんだなあ…(シミジミ)
さて、今回は「こうすればストレス病は絶対悪くなる」という、ネガティブな因子について紹介します。
「なんで良くなる方を書かないんだよ(# ゚Д゚)!」
と思われた方もいるかと思いますが、逆説的にこれから書くことと反対の行動をとれば、ストレス病は必ず良い経過を辿ることでしょう。
1:改めない飲酒習慣
患者さんの一部には、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤を処方されているにも関わらず、これまでの飲酒習慣を改めようとしない方がいらっしゃいます。
しかしお酒も「エチルアルコール」という立派な薬物。肝臓で代謝されて、解毒されるわけですが、この際、常用している内服薬の代謝・分解を思いっきり邪魔してしまいます。その結果、薬の効果は不安定になり、治療効果にも悪影響を及ぼしてしまうのです。
さらにはアルコールの多飲は、低血糖の引き金にもなります。低血糖症状は動悸や発汗などパニック発作と類似の症状を引き起こし、併せてビタミンB群の大量消費にも繋がる為、セロトニンやドーパミンといった脳内伝達物質の産生量が低下します。結果、うつやパニックの症状が更に悪化してしまうのです。
2:ヘビースモーカー
タバコのニコチンはドーパミンやノルアドレナリンなどの上昇を通じて、一時的に気分を持ち上げますが、持続性がなく、切れた時に逆に気分は落ち込みやすくなります。またニコチン切れによるイライラや不安といった気分の波は、うつ病の悪化因子として働きます。
他にもニコチンの持つ覚醒作用は、睡眠障害の原因にも繋がりますし、喫煙による脳血流の低下と酸化ストレスは、うつ病の背景にある神経炎症をさらに悪化させます。
よって、ストレス病に対する喫煙の影響に関しては、「百害あって一利なし」そう言い切ることができます。
3:糖質・炭水化物依存
私も元々甘党ですので、よくわかるのですが、ストレスで脳疲労を感じた際にお菓子やアイスクリームにすぐに手が伸びる人は少なくないです。
しかし一時的に血糖値が急上昇しても、その後に血糖を下げるインスリンが分泌されるため、血糖値の乱高下が生じます。
血糖の乱高下は交感神経系を興奮させ、頭痛や発汗、動悸に加え、イライラや不安、焦燥感といったネガティブな感情を引き起こします。
現代社会では、精米されたお米、パン、うどん、パスタといった麺類、ジャンクフード、コンビニでのスイーツなど、糖質にまみれた食生活に陥りやすいため、ビタミンB群が大量消費されやすくなります。
こうして脳内伝達物質の産生低下を引き起こし、うつや不安の発生に繋がるわけです。
4:診療時間を守らない ドタキャンを繰り返す
当クリニックでは完全予約制を敷いているのですが、頻繁に遅刻や電話連絡も行わずにドタキャンを繰り返す患者さん達が一定数存在します。
もし、そのキャンセルがなければ他の困った患者さんを一人でも多く診ることができたでしょう…。
そのような行動を繰り返す、「ドタキャン友の会」のメンバーに共通している特徴が、「不安定な治療経過」なのです。
例えば、あるお薬を開始してストレス症状が大幅に改善したとしても、定期的な服用を続けなければ、改善状態は持続しないのは当たり前です。
しかし、そういった患者さんたちに限って、自分の都合を優先させ、連絡もせずに診療キャンセルしたり、自分が遅刻したのにも関わらず、悪びれずに閉院後の診療を要求してきます。
幸いなことに、こういった患者さんは極めて少数なのですが、私も医者である前に一人の人間である為、彼らの診療を行うことに虚しさや徒労感を感じることが少なくありません。
こうなると医師・患者間の信頼関係も脆弱になり、診療の質が落ちてしまい、結果として患者さんの改善も遅々として進まなくなってしまうのです。
5:自罰・他罰的思考
以前のブログ(2024年5月)、「OK牧場とこころの姿勢」でも述べましたが、行き過ぎた自己否定、他者否定は思考と身体症状の悪循環を生みだし、慢性的なストレス状態を常態化させます。
この状態に陥ると、どんなに優れた抗うつ薬、漢方薬を用いても十分な効果が発揮されません。(折角、バッテリーに充電しているのに、同時に漏電しているイメージです。)
それどころか、主治医や医療機関に対して、「どうして早く完治させてくれないんだ!」「治らないのは主治医の腕が悪いからだ」といった、逆恨みの感情や攻撃的な感情を爆発させる患者さんも、時にいらっしゃいます。
(当院も含めて、メンタルクリニックの低評価口コミの一部は、こういった怨嗟の声で占められています)
特に他罰的思考に関しては、「人のせいにすることで、自分の脆弱な心を守る」という、ある種の防衛機制が働いている為、短期的には楽で都合が良いのです。
ただ、ストレス病を根本から治癒させるためには、そういった自分自身の暗部に向き合う時間というのが、どうしても必要になってきます。
「闇墜ち」という言葉がありますが、「闇墜ち」した状態のままでは、ストレス病は絶対に良くはなりません。
映画、スターウォーズのダース・ベイダーも、息子の命がけの説得により、ダークサイドからライトサイドへの帰還を果たしたことで、「フォースの均衡」がもたらされ、物語は大団円を迎えました。
スターウォーズの話題を聞くたびに、心療内科外来の治療風景が頭によぎる私なのでした(笑)。
如何だったでしょうか。
少々耳に痛い、厳しいことも書かせて頂きましたが、心療内科における治療は、医師や内服薬に依存しているだけでは、回復していきません。そこには生活態度の見直し、自分自身という存在への尊重といたわり、といったスタンスが不可欠になってきます。
「クリニックからの卒業」というゴールに向かって走っているランナーが患者さんとすると、「コーチ兼伴走者」の役割が心療内科医の務めと常日頃から思っている私です。
上記5つの習慣からの脱却を一つずつ図っていけば、必ず心身の不調は改善していくことは保証しますので、是非気を付けてみてください(^^♪