四神と漢方薬
皆さん、お疲れ様です。
今回ブログ更新が遅くなり、大変申し訳ございません。
最近、学会などのイベントが目白押しであり、ブログに回せるエネルギーが枯渇していた私です。
※ 決して先月末発売された「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ」の攻略にうつつを抜かしていたわけではありませんので、誤解無きようお願いします(;^ω^)…。
さて、いい年こいてドラクエ大好きな、「見た目はオッサン、中身は子供」という、コナン君とは正反対の「迷医」である私ですが、皆さん「四神」のことをご存じでしょうか?
四神とは、中国の想像上の霊獣である、青龍(せいりゅう)、白虎(びゃっこ)、朱雀(すざく)、玄武(げんぶ)の4つを指します。
青龍刀や白虎隊、朱雀門、玄武岩など、四神の名を関する名詞は、世の中に溢れています。
元々は古代中国の天文学や風水の概念ですが、現代ではマンガやゲームなどサブカルチャーの世界にもしばしば登場します。
実は、この四神、漢方薬ともメチャクチャ関係が深いのです。
それでは四神とその名を冠した漢方薬についてご紹介しましょう。
玄武(げんぶ)

玄武は北方を守護する水神であり、「玄」は黒色を意味します。
玄武に相当する生薬は、以前ブログでも取り上げた、トリカブトの子根である「附子(ぶし)」です。
附子は黒い色をしており、体内の水をさばく力を持っています。
そのため、玄武湯という漢方薬の名前が与えられましたが、宋の時代に皇帝の名に重複してしまったことから、「真武湯」と改名されました。
真武湯はこれから始まる冬において、患者さんの冷えに起因する下痢やむくみに高頻度で処方される漢方薬となります。
朱雀(すざく)

朱雀は南方を守護する神獣であり、イメージカラーは赤です。
この朱雀に相当する生薬は、赤い色をしている大棗(たいそう)=ナツメになります。
ちなみに「朱雀湯」という漢方薬は、現在レシピが伝わっておらず、謎に包まれている処方なのですが、漢方のバイブルと言われる「傷寒論」に記載されてある「十棗湯」に近い処方と言われています。
この十棗湯は、ナツメ以外に甘遂(かんずい)、大戟(だいげき)、芫花(げんか)といった生薬から構成されており、超攻撃的な生薬から成る下剤となっております。(エキス剤には勿論ありませんし、私もこの薬を使用したことはありません)
白虎(びゃっこ)

白虎は西方を守護する神獣であり、イメージカラーはそのまんま白です。
この白虎に相当する生薬は、「石膏(せっこう)」になります。
そう、ギブスや彫刻に使用されるあの鉱物、石膏です。
石膏は硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)であり、生薬として用いられる場合、解熱作用や、止渇作用(のどの渇きをおさえる)が発揮されます。
白虎の名を冠する白虎湯というオリジナルよりも、人参が加わった「白虎加人参湯」が有名です。
私も夏の猛暑で、フラフラになった夏バテ・熱中症予備軍の患者さん達を何人もこの処方で助けてきました♪
青龍(せいりゅう)

最後の青龍は東方を守護する神獣であり、イメージカラーは文字通り青になります。
そして青龍に相当する生薬は、「麻黄(まおう)」です。この麻黄、採取して陰干しすると青色になることから、「青龍」の別名を与えられたと言われております。アレルギー性鼻炎や風邪に使用される小青龍湯(しょうせいりゅうとう)が有名ですが、大青竜湯(だいせいりゅうとう)という処方もあります。
私はインフルエンザに罹患した息子に、麻黄湯でも良くならなかったため、エキス剤の組み合わせで大青龍湯を再現し、スッキリ改善させたことがあります。
いかがだったでしょうか。
生薬は単なる薬理物質ではなく、自然界の力を象徴として背負っている──
そんな視点で漢方を眺めると、服用する際に一段と味わい深く感じられるのではないでしょうか。
それでは今日はこの辺で(^^♪
追伸:11月25日火曜日、KBCテレビのアサデス7にて、院長と当クリニックがちょっとだけ放映されます♪ お暇な方は良かったら視てくださいね(笑)。