ストレス疾患に使える安心・安全な漢方薬その4 「ストレス性の胃の不調に六君子湯」
皆さんこんにちは。
まず、当クリニックに新患申し込みの電話をお掛け頂いた患者さんにお伝えしたいことがあります。
今月16日に11月分の新患申し込み受け付けを解放したのですが、電話の殺到により翌日の朝には全て新患枠が埋まってしまい、受付を終了せざるを得ませんでした。
折角ご連絡を頂きましたのに、受け入れることができなかった患者さんには大変申し訳ございませんでしたm(__)m。
つい数か月前までは、新患枠が埋まるまでには、大体一週間を要していたのですが、最近では受診前からスタンバイされている方が多くなったようで、電話回線一本、受付スタッフ数人、アナログ対応、院長一人という小さな当クリニックでは、完全にキャパオーバーをきたしている状態なのです…。
私のところのような、弱小クリニックからすれば、フランチャイズチェーンのメンタルクリニックの持つマンパワーと経済力は本当に羨ましい限りです。
その代わり、ストレス関連疾患に対するオーダーメイドの漢方治療に関しては、これからも磨きをかけていきますので、皆さん改めて宜しくお願いします(^^♪。
さて、今回は久しぶりにストレス疾患に応用できる安全な漢方薬のお話をしましょう。
今回紹介する漢方薬は「六君子湯(りっくんしとう)」です。
構成生薬
人参(にんじん):ウコギ科の多年草、オタネニンジン。滋養強壮、消化促進。
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科の菌核。利尿・精神安定作用。
朮(じゅつ):キク科のオケラの根茎。余分な水分を取り除き、健胃作用をもつ。
大棗(たいそう):ナツメの実。健胃・強壮・精神安定作用。
生姜(しょうきょう):ショウガの根茎。健胃・制吐作用。
半夏(はんげ):サトイモ科カラスビシャクの根茎。制吐作用、鎮咳・去痰作用あり。
陳皮(ちんぴ):温州ミカンの果皮を乾燥させたもの、健胃作用、リラックス作用あり。
甘草(かんぞう):健胃作用があり、他の生薬の作用を調和させる。
以前、安中散のブログで、機能性ディスペプシアの話をしましたが、こちらの六君子湯の場合、胃痛よりも胃もたれや食欲低下といった運動低下による胃腸症状に有効な漢方薬になります。
ちなみに、私は胃腸虚弱なタイプなので、焼き肉など食べすぎると高確率で胃もたれを起こしてしまいます。
そういったときに六君子湯を服用すると、そんなに時間を置かずに胃の内容物が、「スーッと」腸へと下りていくのを感じることができます。
胃腸虚弱で胃下垂ぎみの人では、振水音といって胃が「チャポチャポ」と鳴りやすかったりします。六君子湯はこのような体質の人に適した漢方薬です。
やや甘くてのみやすく、単なる胃腸薬だけではなくマイルドな抗うつ効果、食欲増進作用、咳を止める作用、吐き気を抑える作用など、様々な薬理効果を有しています。
ところで六君子湯は、漢方薬の中でも、最も研究が進んだものの1つになります。
例えば、六君子湯を投与された栄養失調のモデル動物では、食欲刺激ホルモンであるグレリンの分泌が増加し、摂食量の増加、筋肉量・体脂肪量の減少抑制が認められています。
さらには近年、基礎研究において、六君子湯がグレリン受容体を活性化させた結果、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を介した健康寿命延長作用が報告されており、注目が集まっています。
不老長寿は、長らく人間の夢でしたが、実は漢方薬にそのヒントはあるのかも知れません(^^♪