漢方の神秘「MENGEN」|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

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漢方の神秘「MENGEN」|はこざき漢方内科・心身医療クリニック|JR箱崎駅から徒歩3分

漢方の神秘「MENGEN」

殺人的な暑さが続きますが、皆さん如何お過ごしでしょうか?

私は少しでも涼しくなるために、お気に入りの作家、貴志祐介先生のホラー最新作、「さかさ星」を一気読みしてきました。

いや~、本当にコワ面白かったです!

これから読む方の為に、ネタバレは避けますが、「開運なんでも鑑定団」のオカルトバージョンというか、いわくつきの呪物てんこ盛りの「呪物廻戦」とも言うべき、エンターテイメントホラーでした(;^_^A。

 

700ページを越える長編ホラー小説ですが、ページをめくる手が止まらなくなり、速攻で読了可能です。

活字で「涼」を納めたい方は是非ご一読を♪

 

さて、今回のテーマは漢方治療における謎現象である、「瞑眩(めんげん)」について。

瞑は目がくらむ

眩はめまい、ふらつきを意味する言葉であり、

 

漢方治療を始めた際、一時的に症状が悪化したように見える、体が病気から治ろうとする過程で出現する「激しい好転反応」のことを指します。かなりレアな現象であり、我々漢方の専門医でもそうそうお目にかかるものではありません。

 

 

「え?それって副作用じゃないの?」と思われるかもしれませんが、副作用や有害反応との違いを挙げますと、

 

● 通常、数日以内にその症状は改善する(症状の例:微熱 倦怠感 発疹 下痢 浮腫 気分の波 )

● 症状改善と共に、元々患者が悩んでいた病状が劇的に改善する

● その反応が出ているときは、患者さんは驚くものの、そこまで苦しんではいない。

 

といった特徴が見られます。ちなみに私の患者さんで初めて瞑眩を確認したのは約15年前。

動悸や発汗を訴える患者さんに、「半夏厚朴湯」を処方したところ、その患者さんは予定していた数週間後の再診日には来られませんでした。それからまた4週間ほど経過したある日、ひょっこり外来に来られたその患者さん。

初診時の不安そうな表情とはうって変わって、ニコニコ顔です。

なんでも、半夏厚朴湯を服用後、3日目に急に手足や全身にむくみが出現してきたため、怖くなって服用をやめたらしいのです。その後、むくみは自然に改善。それと共にこれまで困っていたすべての症状がすっかり良くなり、非常に気分が良くなったとのことでした。

 

ところで半夏厚朴湯には、「甘草」という生薬は入っていない為、浮腫の副作用が起きることはまずありません。

そしてむくみの症状が改善後、元々困っていた不安や動悸といった症状はすっかり改善したという事実から、このケースは「瞑眩反応」であったものと確信しました。

 

そしてつい最近、私の漢方人生では2例目となる瞑眩反応に再び立ち会うことになりました。

頭痛、パニック発作に悩む患者さんに桂枝人参湯と真武湯の二処方を服用してもらったところ、お通じが緩くなり、下痢が続いたというのです。しかし漢方薬は美味しく感じており、腹痛などの症状もないため、患者さんはそのまま服用を継続してくれました。(ちなみにこの二処方とも、体を温める方剤であり、むしろ下痢を改善させる処方になります)

その後、下痢が止まった後は身体の重さが減り、お腹のこわばりも改善。寝つきもスムーズとなり、起床時もすっきり起きられるようになったとのことでした。

 

このように瞑眩は、患者さん側の体質と、漢方薬のマッチングがピッタリ当てはまった時にのみ生じる、かなりレアな生体反応になります。

瞑眩と副作用の見分け方については、先ほど述べましたが、患者さんの立場としては見分けがつかない場合もあるでしょう。当クリニックで処方された漢方薬を服用後、万が一大きな体調の変化を感じる場合は、すぐにクリニックまでご連絡ください。

お話を伺うことで服用継続か、中止にするべきかのアドバイスができるかと思います(^^♪。

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